「Re•PAUSE」

日常的動作から切り抜いた架空のシーンを「PLATE」と命名し、5つの「PLATE」から成る、ヒトの1日を形成するに値する、断続的な架空世界をイメージした。

各「PLATE」には、独自の時間の概念が存在するが、「PLATE」間における、時間的関連性は存在しない。

あくまでも、新たに生成された世界観におけるパーツとしてのみ存在する。

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人体(トルソー概念)中心の洋服の製造理念ではなく、この架空世界では「動作」が主役に取って代わり、人体構造は二の次となった。

しかし、我々の世界のように「より機能的なデザインへ」「より精錬されたデザインへ」…等のようにではなく、この架空世界での価値観は異なる方向へと進む。

「動作」から生まれた「PLATE」概念ではあるが、「PLATE」を形成する要因は、あくまでも《ドレスメーカー》の視点によるものであり、様々な学術的見解によるモノではなかったためである。

むしろ、この《ドレスメーカー》は、洋服の製造知識以外は無頓着であり、洋服の製造技術のみに精通してきた《ドレスメーカー》は、歴史ある洋服の製造知識を学ぶ事によって、ヒトに対するあらゆる学術的見解を考える機会を失っていったのであった。

長い歴史によって、確立されてきた洋服の製造知識は、それを楽観的に身に付けるだけで、現状に起こりえる様々な不都合を修正し、また、自然と、我々にとって機能的な構造の洋服へと変貌させる。 

すでにパターン化された洋服の製造知識を身につけてきた、優れた《ドレスメーカー》は、数体のトルソーと対峙する《個》の人生のみで、多くのヒトに対応した、如何なるデザインの洋服を生み出せることが出来たのである。

すべてのデザインは、分量展開とテクスチャーデザインの変形のみで制作が出来た。

あとは、どのようにデザインを成立させ、そして、どのようにデザインを完結させるか…、これだけが《ドレスメーカー》の日々の問題である。

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架空世界を構成する5つの「PLATE」は、「movement」「communication」「act」「rest」「re-」と命名され、

《ドレスメーカー》にとって、それらは自分の生きる時代の象徴的なシーンから切り抜かれる。

パターン化された洋服の製造知識は、《ドレスメーカー》に社会的な関わりをその技術のみの存在ですでに成立させ、そして、《ドレスメーカー》はヒトらしい日常から隔離している。 

日常を生きない《ドレスメーカー》は、日常(コミュニケーション)を生きる《デザイナー》によって《パターンメーカー》と成り下がった。

さらに、《CADシステム》に堕ちた。

だが、《ドレスメーカー》は、日常に憧れていた。

《ドレスメーカー》の視点は、我々の意識していない日常に向いていた。

「PLATE」とは、《ドレスメーカー》の非日常であり、研究対象である。

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「PLATE」概念から生まれたデザインが、日常に戻った時、変容されしデザインが切り取られ、誕生する。

我々が目撃するそのようなデザインは、いわば化石であり、再定義はテクスチャーデザインのみに限定される。

しかし、あるヒトが言った。

「何故、我々の日常に着目した結果のモノが、我々に理解出来ないのだ?」

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《ドレスメーカー》とは、「近代クチュリエ」である。

しかし、《本国》以外の場所で、単独で生まれ、

そして、世界中に単体で存在していた。

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concept「Re•PAUSEの世界」© 2005 plug-designer  © 2011 plug-designer

© 2005 plug-designer 「movement _PLATE01」

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